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研究概要

 当研究室では、快適な情報通信を実現するため、インターネットを中心とした情報ネットワーク技術の基盤研究を行っています。情報を効率的に伝送するための技術や、それを可能にするためのネットワーク設計、情報セキュリティなどが主な研究テーマとして挙げられます。特に、今後普及が期待されている動画像などのマルチメディア情報通信や、ユビキタスを実現するための無線アドホックネットワークに重点をおいた技術研究開発に注力しています。

 

ピア・ツー・ピア(P2P)通信

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 BitTorrentやWinnyなどのアプリケーションは、いわゆる「ファイル交換ソフト」と呼ばれ、音楽ファイルやアプリケーションの交換などが社会的問題になっています。これらのアプリケーションは、ピア・ツー・ピア(P2P)と呼ばれる接続技術を利用しており、従来のインターネットの形態であったクライアント/サーバシステムとは大きく異なっています。違法性のあるファイル交換は良くありませんが、「ピア・ツー・ピア技術」は大変有望な技術として研究者の注目を集めています。
 P2P通信では、インターネット上のコンピュータ同士が互いに接続しあってデータピースの交換を行うため、論理的なネットワークを構築します。しかし、P2Pアプリケーションからはインターネットが物理的にどのような形をしているかを知ることができません。そのため、わざわざ遠くのコンピュータからデータを受信するなど非効率な通信が発生し、ネットワーク資源の浪費が問題となっています。
 MINETでは、P2P通信の中でも、特に今後普及が見込まれているP2P形映像配信サービス(P2PTV)に着目し、膨大な動画データを効率良く伝送するための技術について研究を行っています。具体的には、P2PTVにより発生するデータトラヒックの構造やその分布について詳細な分析を行ったり、発生するトラヒックを望みの方向に移動させる局在化手法などについて、研究を行っています。

最近の発表論文

  1. H. Hoang-Van, Y. Shinozaki, T. Miyoshi, and O. Fourmaux, "A Router-aided Hierarchical P2P Traffic Localization Based on Variable Additional Delay Insertion," IEICE Transactions on Communications, Vol. E97-B, No. 1, pp.29-39, January 2014.
  2. H. Hoang-Van, K. Mizutani, T. Miyoshi, and O. Fourmaux, "P2P Traffic Localization by Forcing Packet Loss," International Journal of Networked and Distributed Computing (IJNDC), Atlantis press, Vol. 1, No. 4, pp. 251-259, November 2013.
  3. 篠崎友希,三好 匠,オリヴィエ フルモー,"位置情報に基づく遅延挿入によるP2Pトラヒック誘導方式," 電子情報通信学会論文誌,Vol. J96-B,No. 8,pp. 819-830,August 2013.
  4. K. Mizutani, Y. Shinozaki, H. Hoang-Van, and T. Miyoshi, "An Adaptive Packet Discard Method for P2P Traffic Localization," 15th Asia-Pacific Network Operations and Management Symposium (APNOMS2013), Hiroshima, Japan, Paper No. I2-2, September 2013.

 

無線アドホックネットワーク

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 携帯電話やPHS、無線LAN、Bluetoothなど、無線通信を行うための規格が充実してきました。無線機器の最大のメリットはケーブルがないことです。つまり、PCを持って隣の部屋に移動してもインターネットに接続されたままですし、また電車の中や街の中でもネットワークに接続することが可能です。昨今では、既存の有線システムを一切利用しないで、無線通信機器だけを利用して通信を実現する「モバイルアドホックネットワーク(MANET)」が注目されています。
 MANETでは、すべての端末が移動するため、従来の有線ネットワークとは異なる接続制御方式が必要となりますが、接続性御の基本となるのが通信経路を決定する経路制御です。従来の経路制御手法としては、送信端末と受信端末の間にあらかじめ1本の道を決定してから送信する方法(経路確立形)と、道を決めることなく周囲の端末の協力を得ながら徐々に伝搬させる方法(オポチュニスティック形)があります。どちらも長所と短所があり、改善の余地が残っています。
 MINETでは、MANETによるユビキタス環境の実現を目指して、経路制御に代表される接続性御方式について研究を行っています。具体的には、経路確立形とオポチュニスティック形を統合した新たな経路制御方式や再送制御方式、効率的なマルチキャスト方式、複数の通信技術を併用するセンサネットワーク構築手法などに関する研究を行っています。

最近の発表論文

  1. 山本 嶺,三好 匠,田中良明,"アドホックネットワークにおける送信速度制御を用いた近傍トラヒック適応形負荷分散手法," 電子情報通信学会論文誌,Vol. J96-B,No. 7,pp. 782-792,July 2013.
  2. 山崎 託,山本 嶺,三好 匠,朝香卓也,"アドホックネットワークにおける2ホップ信頼性制御を用いたブロック伝送方式," 電子情報通信学会技術研究報告,Vol. 113,No.360,NS2013-159,pp. 143-148,December 2013.(電子情報通信学会ネットワークシステム研究賞受賞論文
  3. 白井達也,山本 嶺,三好 匠,田中良明,"アドホックマルチキャストにおける局所回復経路制御手法(奨励講演)," 電子情報通信学会技術研究報告,Vol. 113,No.360,NS2013-160,pp. 149-154,December 2013.
  4. 荒木涼太郎,山崎 託,山本 嶺,三好 匠,"アドホックネットワークにおける経路の近傍ノードを利用したパケット転送方式," 2014年電子情報通信学会総合大会,分冊通信2,B-6,投稿中,March 2014.

 

eラーニング

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 インターネットの爆発的普及に伴い、ネットワークやWebを活用した教育システムが注目されています。そのようななかで、eラーニングに関する研究の中心は、単にシステムを構築するといった視点から、より効率的で教育効果のあるシステムとはどのようなものかを考えるフェーズに移りつつあります。
 MINETでは、研究室開設当初(2002年度)から授業映像の配信を行ってきました。受講者の視点のみならず、コンテンツ作成者の負担を考慮したシステムとして、現在のBlog型MINETELにたどり着きました。また、履修者のモチベーションを向上することを目的として、履修支援システムを開発、多くの学生に利用されています。
 今後も教育効果の向上を目的としたeラーニングの研究を進めていく予定です。特に今年度は、豊洲−大宮間のリアルタイム遠隔講義に着目し、臨場感を重視した教育方法について研究を行います。

最近の発表論文

  1. 八重樫理人,谷川 晃,守屋英樹,玉田裕司,神澤雄智,三好 匠,相場 亮,"講義コンテンツ自動生成システムの開発," 電子情報通信学会論文誌(D),Vol. J91-D,No. 12,pp. 2819-2832,December 2008.
  2. 國弘保明,尾沼玄也,八重樫理人,三好 匠,"遠隔講義に於ける日本語教育分野からのサポート," 日本語教育国際シンポジウム「東南アジアにおける日本語教育の展望」,タイ・バンコク,October 2008.
  3. 國弘保明,尾沼玄也,八重樫理人,三好 匠,"工学系教員の発話テキストから考察される工学系学科に留学する為に必要な日本語能力," 工学教育,Vol. 56,No. 3,pp. 103-108,May 2008.
  4. 高田 充,三好 匠,八重樫理人,國弘保明,尾沼玄也,"e-Learningにおける日本語理解度と授業集中度を考慮した字幕作成手法," 2008年電子情報通信学会総合大会,分冊情報システム,D-15-33,p. 227,March 2008.

 

 

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